まず、この記事は映画『サマーウォーズ』のネタバレを含みます。
お気をつけください。
夏映画といえば、『サマーウォーズ』と個人的に定番化しているんですが、今回は、『サマーウォーズ』の劇中に登場する重要キャラである、「陣内栄(栄おばあちゃん)」の人物像や、影響力を分析してみたいと思います。
現実社会でも役に立つ、1つの人の”在り方”を学べるかもしれません。
- 人生で大切にしたいこと
- 苦難を乗り越える栄おばあちゃんの名言
- サマーウォーズの良さ
内向型人間
たくしん
takushin
詳しいプロフィール
インキャ、インドアという2つの”イン”を持つ者。
バリバリ金融営業➡北海道転勤➡第二新卒で転職➡関西居住➡地元に戻る。というムーブをかました5年目社会人。
今まで無事に生きられたのは周囲の”人”のおかげだと本気で思っているので、”人”に関係する悩みが多い社会人(特に新入社員や転職した人)に向けた、自分の経験から”人”に関係する悩みを解決する発信をしてます。
栄おばあちゃんについて
映画『サマーウォーズ』の立役者である”おばあちゃん”こと「陣内栄(じんのうちさかえ)」について、まずは概要を紹介したいと思います。
概要
名前 | 陣内 栄(じんのうち さかえ) |
年齢 | 89歳 |
生年月日 | 1920年(大正9年)8月1日生まれ |
体得しているもの | 古武道、花札、ガーデニング |
備考 | 陣内家16代当主 |
※あくまでも作品で映された情報を参考にしています。
本作では、栄の90歳になる直前の期間が物語の舞台となっています。
栄おばあちゃんの90歳の誕生日にお祝いを行うために、親戚全員が集まるということから物語が進み始めています。
栄おばあちゃんの人間関係
栄おばあちゃんの人間関係はおそらくとんでもない数の人とつながりがありここでは紹介しきれません。
分かりやすく、まずは家族をみてみましょう。
当主
陣内 栄
長男
不明
妻:不明
夫:篠原 和雄
→娘(長女):篠原 夏希(ヒロイン)
長女
陣内 万里子
息子(長男):陣内 理一
娘(長女):陣内 理香
次男
陣内 万助
→息子(長男):陣内 翔太
娘(長女):三輪(旧姓:陣内) 直美(バツイチ)
夫:名前不明
→息子(長男):池沢 桂主馬
三男
陣内 万作
妻:陣内 典子
→息子(長男):陣内 真悟
→娘(長女):陣内 真緒
妻:陣内 奈々
→娘(長女):陣内 加奈
妻:陣内 由美
→息子(長男):陣内 了平
→息子(次男):陣内 裕平
→息子(三男):陣内 恭平
養子
陣内 侘助
家族のみをみてみると、その人数「28人」+犬一匹と現代だと大家族と言われるほど身内が多いです。
さらに、ここに劇中でおばあちゃんの知り合いに連絡をとるシーンがありますが、連絡をとっている人をざっくりと数えたいと思います。
ここで明確に映るのは、”電話帳”です。
電話帳は手帳ほどの厚さの冊子に「名前」「電話番号」「住所」が載っていました。
そこに書かれている名前は「板垣」「飯富」「山本」「小幡」「高坂」「穴山」「甘利」「原」「山県」「曽根」と1ページ内に載っている人数を数えても10人。
さらにページがめくられて、「小幡」「秋山」「三枝」「馬場」「一条」「多田」「小山田」「加賀美」と8人もの名前を確認できました。
電話でも数名と話していたことから少なくとも20名以上の人間関係はあります。(最後のお葬式のシーンではとんでもない数の参列者がいたので100人以上はいるでしょう…)
これらの人間関係をみて、やはり、栄おばあちゃんの影響力が凄まじいことがわかります。
ますます栄おばあちゃんの人物像、影響力の背景が気になりますね。
栄おばあちゃんの人物像
さて、これだけの人間関係、人と人との繋がりをもっている栄おばあちゃん。
どんな人物像があって、ここまでの人の繋がりを作ってこれたのでしょうか。
作中の行動や言動から推測していきたいと思います。
シーン①
「人の本性を行動・言動から汲み取る人」
栄おばあちゃんが初登場したシーンは、夏希が高校の後輩である健二をおばあちゃんに紹介するシーンです。
そのシーンの見どころは「夏希を責任持って幸せにする覚悟があるのか」おばあちゃんが健二に問う部分です。
その後のシーンで、陣内家内ではおばあちゃんが嫁・婿を吟味していて、許可が出なければ交際することが許されないという厳しい家系だということが、陣内家内の会話からわかります。
実際に、連れて来る恋人に許可が出なかったことが多々あったそうです。
そんな厳しいおばあちゃんでありながら、健二のことは出会って数分で夏希との交際を許可します。
これは、健二がおばあちゃんに会った時の態度や言動から健二を信頼したということではないでしょうか。
現に、「夏希を幸せにする覚悟があるのか?」と聞かれた際に、健二は言葉に詰まりながらも、おばあちゃんの目を見て「はい…。」と答えます。
このやり取りから、「絶体絶命のときには逃げずに面と向かって立ち向かう人」だということを健二の言動から読み取ったからではないでしょうか。
ここからわかることは、栄おばあちゃんは、「人の本性を行動言動から汲み取ることができる」という”慧眼を持つ人”なのではないでしょうか。
シーン②
「家族を愛する人」
続いてのシーンは、家族で夕飯を食べている際に、陣内家の養子として迎えられた、侘助が帰って来るシーンです。
これは、後のシーンでわかることですが、侘助は陣内家が持つ土地を売ったり、財産を持ち出して家を出ていったという、なんとも勝手な身内だという話がでてきます。
そんな勝手な身内にも関わらず、栄おばあちゃんは、突然帰ってきた侘助にこう言います。
「あんた、ご飯、食べたかい?」
身勝手な身内にも関わらず、勘当もせず、突然帰ってきて温かみのある言葉をかけます。
また、別のシーンでも「家族への手紙」を残す栄おばあちゃん。
その手紙には「私はあんたたちがいたおかげで、たいへん幸せでした。」という一文があります。
ここからも家族愛に溢れた人物だったということがわかります。
シーン③
「人のために行動できる人」
サマーウォーズといえばというシーンの1つに、おばあちゃんが混乱した世の中を正そうと、各関係者の士気を高める電話をするシーンがあります。
ここで栄おばあちゃんは、「あんたならできる」と励ましの言葉をおくります。
そのかいあってか、死傷者もなく混乱は1日にして収まります。
この出来事から、栄おばあちゃんは「人のために行動することができる人」だということがわかります。
電話でのシーンで、「何千何万人という人が困っている。今やらないでいつ頑張るんだい」というセリフから、”人のために頑張るんだ”という考えがあることが予想できます。
シーン④
「金≪≪人情」
栄おばあちゃんはお金よりも、人情を大切にしている人だということが様々なシーンからわかります。
1つ目のシーンに、「侘助がラブマシーンを開発した張本人だと分かったシーン」を挙げてみます。
この時、侘助は「俺頑張ったんだよ」と栄おばあちゃんに認められたいがために頑張ったと弁明をはかっているときは、おばあちゃんの顔は同情心に満ちた様子で描かれていたのに対し、「じじぃ(おじちゃん)がいた頃よりも金が入ってくる。これも、ばあちゃんがくれた金のおかげ」だと言った瞬間に、同情心からくる優しい目が一気に、瞳孔が開き、悲しみと絶望感、嫌悪感に満ちた表情へと変わっていきます。
このシーンからわかるのは、おばあちゃんが大切にしているのは、「人として一生懸命頑張ること」や「お礼」といった”人のあり方”であり、”お金”という物質ではないということです。
もう一つ、栄おばあちゃんの残した手紙を読むシーンでは、手紙にこう書かれていました。
「財産は何も残してやしないけど、古くからの知り合いのみなさんがきっと力になってくれるだろうから、心配はいらない。」
「家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。
もし、つらい時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんなそろって、ごはんを食べること。
一番いけないのは、おなかが空いていることと、1人でいることだから。」
この文章からわかるのは、「財産はお金ではなく、”人”なんだ」ということと、やはり、”家族愛”、”人間愛”です。
以上のことより、栄おばあちゃんは物質ではなく、人情を大切にしている人だとわかります。
栄おばあちゃんの影響力
栄おばあちゃんの影響力は映画をみればわかりますが、とてつもないです。
仮想空間のOZの人為的な不具合の影響で、世の中のシステムが混乱してしまいました。
そんな時に「あんたならできる」という一言で関係各所を突き動かします。
栄おばあちゃんの影響力をもう少し分析してみましょう。
おばあちゃんが家族に与える影響
栄おばあちゃんが家族に与える影響はとても大きいと言えます。
まず、前項でもお伝えした通り、お付き合いする相手は栄おばあちゃんの許可する人でなければいけません。
栄おばあちゃんが良ければ良いのです。
家族内で絶対権力者といえます。
また、栄おばあちゃんは「人のために行動する」ことを大事にしている人物像だと分析しましたが、これも家族に影響を及ぼしていると分析できます。
それはどんな影響かと言うと、「家族に公務員が多い」ということです。
篠原和雄(夏希のお父さん)=水道局員
陣内 理一=自衛隊
陣内 理香=市役所職員
陣内 太助=町の電気屋だが、小学校などの公共施設と仕事をしている
陣内 翔太=警察官
池沢 聖美=介護福祉士
陣内 万作=医者
陣内 頼彦=救急救命士
陣内 邦彦=消防士
陣内 克彦=レスキュー隊
このように家族内の職業はほぼ公務員です。
公務員は国の仕事を行っています。
国の仕事とは、その国に住んでいる人のための仕事です。
よって、家族の職業からみて、栄おばあちゃんが大事にしている「人のために行動する」という信念が家族内にも浸透していると言えるでしょう。
特定のシーンでのおばあちゃんの影響
やはり特徴的なシーンは、栄おばあちゃんが社会が混乱している際に、電話をかけていたシーンです。
あのシーンでは、関係各所に気持ちを鼓舞する言葉を贈っています。
そのかいもあってか、社会の混乱は1日で死傷者なしで収まります。
「電話一本で励ますことができる」
という影響力もすごいですが、それ以前に、「様々な分野で活躍している人との人脈がある」という影響力に注目したいと思います。
この莫大な人脈の背景は、栄おばあちゃんが元”教師”だったということが要因でしょう。
教師としての教え子たちが今活躍してる関係各所の人たちです。
ですが、いくら教師と言っても、卒業してから連絡を取り続ける、ということは少ないはずです。
私個人的にも、卒業してから教師となどはとったことがありません。
ですが、栄おばあちゃんは89歳になっても教え子に連絡がとれる関係性を築いています。
これは、栄おばあちゃんの人柄のおかげでしょう。
栄おばあちゃんは、励ましの電話で、励ますだけではなく、叱っています。
つまり、ダメなものはダメ、と言ってあげられる教師だったのではないでしょうか。
また、生徒からしたら、叱ることもあれば、その子の可能性、良さを見出してくれる、道を指してくれる存在だったのではないでしょうか。
だからあれだけ人徳がある。
そのように分析することができます。
おばあちゃんのセリフがもたらす教訓
栄おばあちゃんは作中、大きな存在であることに加え、とても心に残る名言を残しています。
その名言は人生の教訓ともなる、そんな風に個人的に感じました。
この項目では、栄おばあちゃんの名言を分析してみたいと思います。
人生の知恵を教えるおばあちゃんのセリフ
- 「あんたならできる。」
- 「諦めなさんな。諦めないことが肝心だよ。」
- 「まあ、まずは落ち着きなさい。人間、落ち着きが肝心だよ。」
- 「何千、何万って人が困ってる。ここで頑張らないでいつ頑張るんだい!」
- 「家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。もし、辛い時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんなそろって、ご飯を食べること。一番いけないのは、お腹が空いていることと、1人でいることだから。」
書いているだけで涙が出そうになるほど、どれも名言です。
1つずつ分析してみましょう。
名言の背後にあるメッセージ
「あんたならできる。」
この作品を代表するセリフの1つです。
「あんたならできる。」この言葉は、「あなたを信頼している」「あなたの自分の能力に自信を持ちなさい」「あなたにはそれを成し遂げる力があるんだよ」という気持ちが隠れているのではないでしょうか。
だから、栄おばあちゃんに叱咤激励を受けたら力がみなぎる。
観ているこちらまで、鳥肌が立ってくる。
そんな気持ちにさせてくれるのではないでしょうか。
「諦めなさんな。諦めないことが肝心だよ。」
諦めないことの大切さを、このセリフには感じます。
このセリフは電話で関係各所に叱咤激励を贈るシーンでみることができます。
このシーンでは、仮想空間OZの不具合が原因で、現実社会に混乱が生じているという状況です。
現実社会では、水道管の破裂、緊急連絡の誤発信、信号機の不具合など、ヘタをしたら死人が出るほどの切羽詰まった状況であり、混乱がひどすぎて心が折れそうになるような状況です。
そんな崖っぷちな状況で「諦めないことの大切さ」を栄おばあちゃんは教えてくれます。
諦めたらそこで終わってしまうんだと。
この考えは、室町時代から続く陣内家は逆境でも旗を上げきたとされる、陣内家の思想から来ているものではないでしょうか。
「まあ、まずは落ち着きなさい。人間、落ち着きが肝心だよ。」
焦っても何も起きない。
まずは、落ち着くこと、それが大事なんだよ。
と、どんな逆境でも忘れてはいけない名言です。
栄おばあちゃんは、家族に陣内家が大切にしてきた考えを伝えていることが分かります。
「何千、何万って人が困ってる。ここで頑張らないでいつ頑張るんだい!
”人のために行動できる”栄おばあちゃんならではのセリフと言えます。
人は人のために頑張ることが大切なことの1つ。
人と人は支え合って生きているんだ。
そんな栄おばあちゃんの教訓が伝わります。
「家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。もし、辛い時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんなそろって、ご飯を食べること。一番いけないのは、お腹が空いていることと、1人でいることだから。」
栄おばあちゃんは、やはり、”人”を大事にする人だとわかるセリフです。
どんなにすごい人でも、お腹が空いたり、1人でいることが辛いことなんだ、人は1人では生きてはいけない。だから、家族で力を合わせて人生を頑張っていくんだよ。
そんな「地位」「名誉」「お金」なんかよりも、一番は、大切な人がいることが何よりなんだという思いを感じ取ることができます。
栄おばあちゃんの言葉が登場人物に与えた影響
栄おばあちゃんの言葉は劇中様々な人に影響を与えます。
・仮想空間OZの不具合による社会の混乱をおさめようとしている関係各所
・健二
・陣内家一家
劇中の登場人物は栄おばあちゃんの言葉のおかげで、度重なる困難を乗り越えていることがわかります。
栄おばあちゃんの言葉は力をくれる言葉だということです。
まとめ
今回は、傑作映画『サマーウォーズ』に登場する陣内栄おばあちゃんについて色々な角度から人物像と、劇中で与えた影響を分析してみました。
作品に登場するキャラクターを分析すると、新しい発見だったり、また別の角度から映画を見ることができるといった恩恵を受けることができます。
こんな記事を書いている私自身もまたサマーウォーズを観たくなりました。
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