こんにちは、筆者だ。
筆者は小学1年生の頃から20代後半の今に至るまで、ずっと吃音症をもっている。
吃音症はなんぞやってことだが、簡単に説明すると「うまく話せない」特性と理解してもらえれば良い。
そんな中で、大人になるにつれて「働く」というイベントが起こる。この時に「吃音だから〇〇という職業は向いていないな」とフッと思ってしまい、職業の選択肢を狭めてしまいがちだ。
筆者も実際に高校生の頃、アルバイトを始めようとした時に、「人となるべく話さない職場が良い」という理由で某大手飲食チェーン店のキッチンで働くことにした。
このようにうまく話すことができない「吃音」という特徴をもっているという理由で自分で職業の選択肢を狭めてしまうという人に向けて今回は「吃音症だからと言う理由で向いていない仕事というのはない」ことを伝えていきたいと思う。
この記事でわかること
・吃音症だからといって向いていない仕事があるわけではないこと
・吃音症だからダメという気持ちになってしまう要因
・吃音をもっている場合の仕事を見つける時におさえておきたいこと

文筆家
たくしん
takushin
プロフィール
- 野球歴13年 小学〜大学まで
- 主にキッチン、接客、フィットネスインストラクターのアルバイトを経験
- 吃音症歴20年
- オートローン会社(金融業界)に1年半在籍
- スーツ生地メーカーのオーダースーツ販売店に約4年在籍
- 百貨店販売員経験あり
- 読書を月10冊ほど
- 筋トレ歴約7年
- 文章を書く時に一番饒舌になるタイプの人間
吃音症だからといって向いてない仕事はない

吃音症をもっていると、「自分には向いていない仕事があるんじゃないか」と思ってしまいがちだ、なんでそのような気持ちになるのかということについては、後ほど解説するが、このような気持ちに陥ってしまうことがある。
実際に、「吃音 向いてない仕事」などで検索すると「吃音の方に向いてない仕事はこれ」「吃音症の人に向いている仕事」などの類の記事が何個か目につく。
ただ、実際に吃音症をもっている筆者から言わせてもらうと、「吃音症が原因で向き不向きの仕事は決まらない」ということだ。
「吃音症だから自分に向いていない仕事があるんじゃないか」と特に、初めて働く人は思ってしまいがちだが、そうではない。
確かに、「向き不向きな仕事」があるのかもしれないし、そのような記事は実際に役に立っているのかもしれない、これは一つの選択肢だと筆者も思う。
だがしかし、「インターネットでこう言われているからそうなんだ」というのは間違いだ。
これらは他者の価値観の一つであり、正解ではない。
筆者が言いたいのは、「これら他者の価値観であなたの可能性を閉ざしてはいけない」ということだ。
「吃音の人はこの職業向いてるよ〜、この職業向いてないよ〜という情報」を鵜呑みにしてはいけない。
吃音はうまく話せないことから、接客など人と関わる職業には向いていないと書かれていたが、筆者は実際にキッチンのアルバイトをしてから接客に転身した時、接客業もできるということを実感した。
だから、情報が氾濫している現代では、ネットに載っている情報だけで判断してはいけないということだ。まあこの記事もネット情報になってしまうのだが、単なる情報にさせないために、ここでは筆者の実体験をしっかりと伝えていきたい。
筆者が伝えたいのは吃音だから向いてない仕事はないこと

筆者が伝えたいのは「吃音だからといって向いてない仕事」なんてものは存在しないということだ。
ネット上には色々な情報が載ってはいるが、結局自分で実際に経験してみないと向き不向きなんてものはわからない。
だから本当はまずは「やってみる」ということが少し大切なのだが、これがなかなかできないというのがすごく分かる。筆者も同じだからだ。
ただ、これだけは知っておいて欲しいのは「吃音だから向いてない」というのは仕事であっても、プライベートの物事であっても、”ない”ということだ。
吃音症だからダメなんじゃないかと思ってしまう原因

といっても、吃音症をもっていると、「あの職業は向いてないな」「自分には無理だよ」と自然と思ってしまうことは間違いない。
筆者も実際に人生初めてのアルバイトは人となるべく関わらない職業を基準にして選んだ。
では、どうして「吃音だからダメだ」と後ろ向きな考えに陥ってしまうのだろうか、筆者は以下の原因があるんじゃないかと思う。
過去の失敗
吃音をもっていると、話す場面で色々な失敗をすることがある。
人との会話であったり、人前での発表だったり、部活動での声出しだったりと様々な場面で吃音が原因の失敗をしてしまう。
例えば筆者であれば
・部活動の最後の声出しの時に言葉が詰まってしまい周囲を意図せず笑わしたこと
・学校の授業での発表の時に言葉がなかなかでずに無言の時間を味わったこと
・挨拶の言葉が出てこず、挨拶するまでに10分ほど使ってしまったこと
など
言葉を発するシチュエーションで様々な失敗をした。
これらの失敗があるおかげで、未来への希望を持つことが困難になってしまうということがある。
・また同じ失敗をするのではないか
・あんな苦しい思いはしたくない
・緊張する場にいたくない
など
様々な”不安”が頭をよぎる。
この過去の失敗を根源にして「自分には向いていない仕事がある」と思いやすくなってしまうのだ。
数多くのメディアの発信
これは最初の方の項目である「吃音症だからといって向いてない仕事はない」でもお伝えしたが、多くの「吃音 向いてない仕事」などで検索すると、「吃音の人に向いてない仕事はこれ」のようなことが丁寧に書かれている。
もちろん、この情報が役立っていることもあるだろうから、筆者は否定するつもりはない。
ただ、これらの情報が数多くあるからと言って盲信してしまうのは良くない。
吃音に限らず、今では「MBTI診断」「性格診断」などで、この性質の人はこの仕事が向いている!と書かれていることが多いが、これも同様に、盲信してはいけないと筆者は思う。
なぜならば、「自分の可能性を狭めてしまうことになる」からだ。
「吃音だからダメだ」と思ってしまう原因の一つは「数多くのメディアがそう言っているから」ということがあり、この発信は「可能性を狭めてしまう原因」を作っていると思う。
吃音=話せないからの考えの派生
吃音=話せない、と考えてしまうだろう。
筆者も実際に、吃音だからこの気持ちはすごく分かる。
吃音=話せないから、出来るだけ”話さない”職種に就こうと自然な思考であればそうなる。実際に筆者もなった。
ただ、ここでこの考えには落とし穴があって、吃音=話せない、のだけれども、吃音=話が相手に伝わらないわけではないということだ。
人との会話、意思疎通で大切なのは「自分の思いが相手に伝わるか、相手の想いを受け止められるか」という気持ちのキャッチボールでなされる。
うまく話せるかどうかは技術的な話、いわば”手段”のお話しなんだ。
ものを運ぶ時に車で運ぶかチャリで運ぶかというお話と同じなんだ。
つまり、吃音だからといって人と話す職業が向いていないわけではないんだけども、吃音=話せない、だから人と話す職業を避けるというシンプルな思考が「吃音だからダメなんじゃないか」という結論になるようになっていると考えられる。
吃音症があり仕事を見つける時におさえておきたいこと

今吃音症をもっていて仕事を見つけようとしている人がいれば、覚えておいてもらいたいことがある。
これは筆者も実際に、吃音であるにも関わらず接客業ができたという経験を踏まえて得た考えだ。
仕事を見つけようとしている時の参考にして欲しい。
”吃音”という基準をなくす
まずは職業を選択する時に、”吃音だから”という考えをしないようにしよう。
”吃音だから”という基準を作ってしまうと、「できるだけ人と関わらない職業」を選んでしまうことになる。
つまり、選択肢を自分で予想以上に狭めてしまうことになるということだ。
これでは自分の可能性に気づくことができず、新しい発見だったり、自分がよりよく楽しく生活することができる可能性を失ってしまうことになる。
「そんな吃音で生じる嫌なことを我慢して楽しいことなんかない!」
筆者も最初はそう思っていた。だって、知らない人と話すことが本当に嫌だったし、周囲の人から嘲笑されて恥ずかしさで顔から火が吹き出そうになった時だってあったからだ。
だが、そんな中でも実際に「自分では絶対に無理であろう職業」である接客業についてみたら案外いけたし、多くのお客さん、同僚のみんなに良くしてもらえた。
この経験があるからこそ、筆者のように吃音で悩んでいる人にも良い経験をして欲しい。
そのためには職業を選ぶ時に「吃音だから」という基準をなくすのが良い方法だ。
気になるものはやってみる
職業を選ぶ時に少しでも気になったものはやってみると良い。
この時ももちろん、”吃音だから”という諦める基準を設けるのを諦めよう。
とにかく自分の心に従って、気になったものはやってみるのだ。
自分が気になったものというのにとりくんでみると、自然とやる気が上向きになるし、考え方も上向きになって物事を自分に都合よく捉えることができる。
この物事を良く捉えるということは結構大事なことなんだ。
筆者は負の感情や負の思考が頭の中にいっぱいになっていると、その思考に気を取られるせいか、言葉が出なくなってしまったり、言葉に詰まってしまうことがある。
反対に、前向きな気持ちや思考になっている日はテンションが高くなり、おそらく吃ってはいるのだろうが、吃るという事象を気にせずにいられ、自分が好きなことに没頭することができる。
簡単にいうと「気の持ちよう」ということになるのだが、この気の持ちようは仕事をうまくやるのにも必要なことであり、うまく話せなくてもうつむかなくなるという面でとても大切なことだ。
気の持ちようをよくするためには「気になるものはやってみる」という基準で職業を選ぶと良い。
尻込みしてしまう気持ちを受け入れる
吃音を持っている時に職業を選ぼうとすると、上記で紹介した「吃音での過去の失敗」が頭にちらついて尻込みしてしまう時がある。
筆者もこれは経験した。職業を選ぶ時ならず、学校の授業の音読の時間や何かにチャレンジしようとする時などに「うまく話せなかったらどうしよう」という思いから、尻込みしてしまった。
この尻込みをしてしまう気持ちはすごく分かるが、これは吃音をもっていない他の人も同様に何かしらの理由で職業を選ぶ時に尻込みをしてしまう時はある。
例えば
・自分に自信がない
・過去に大きな失敗をしてそれが怖い
など
吃音がなくても尻込みしてしまう理由はある。だから、「自分だけが臆病なのかな」なんて思う必要はない。
そして、この尻込みしてしまう気持ちを”受け入れる”ことが重要だ。
吃音を持っていてももっていなくても、何かを始めようとする時には恐怖がちらつき尻込みしてしまうことがある。この現象をまずは受け入れる。そうすることで、挑戦に尻込みしている自分を責めないようになる。
そう、尻込みをすること自体は悪くない。ただ、尻込みをしてしまい、「あぁ自分はなんてダメなんだろう」と思うのがいけない。このように自己嫌悪に陥ってしまっては、職業を選択する時にどんどん臆病になってしまい、身動きが取れなくなってしまうからだ。
そうならないように、まずは吃音を持っていてなかなか職業を選択することができないという「尻込みしている自分」を受け入れることを意識してみよう。
もし挑戦して吃音で苦戦したら

吃音だからといって、向いていない仕事はないんだ!ということがわかり、いざ、挑戦してみたら、吃音で苦戦してしまうことがある。
筆者も接客がうまくいったとは言ったが、最初からうまくできたわけではない。最初は緊張などで吃音が発生してしまい、なかなか自分の思うようにいかず、「やっぱり向いてないんだ」と少し思っていた。
だが、その苦難を乗り越えてみると、「お、意外といけるな」と自分の可能性を知ることができた。
ただ、この苦難を乗り越えるには色々なことをしなければいけないし、自分なりに解釈して新しい考えを取り入れたり、うまく話せない中でどう立ち回るかということも考えないといけない。
このように様々なことをやらないといけず、そこでは”活力”であったり”気力”が必要になる。
この自分に労力をかけることがしんどくなることがある。逃げ出しそうになることがある。そういう時は、筆者が発信している吃音の実体験を踏まえた発信をみにきてほしい。
実体験を元にしたリアルな話を提供し、読者のみんなの”活力”に少しでもなれれば嬉しいし、「こんな人間でもなんとかやってんのか、じゃあ自分でもいけるな」なんてことも思ってもらっても嬉しい。
とにかく、読者の皆さんが「一人で悩まないようにする」ということが、このサイトで吃音のことについて発信している目的だ。
吃音だけど今まで避けていたことに挑戦してみる!挑戦してる中で吃音で苦しいことがある……。そう思ったらぜひ筆者のサイトを使い込んで欲しい。
さいごに
今回は「吃音だから向いてない仕事はない」ということについて、筆者の経験を踏まえてお話ししてきた。
筆者も大学卒業前の就職活動では面接だったり、説明会だったり、グループワークだったりで、話すことに対して相当苦戦した。
なんなら、陰のキャラだからそもそも大勢の人と関わること自体筆者にとったらナンセンスなのに、多くの人と関わりに行くなんて正気の沙汰ではなかった。
まぁこんな人間でもなんとか会社に入って社会人として数年働けている。
もしこの記事を読んでいる読者の方で同じく吃音症に悩み、自分の可能性を多くのメディアの発信を元に閉ざそうとしているのであれば、いったん立ち止まり、もう一度考えて欲しい。
色々なことに挑戦をしていくと意外と自分の中に見つかっていない可能性というのは多くあることに気がつくはずだ。
筆者も読者の皆さんに負けないように、色々な挑戦をしていきたいと思う。
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